舌コントロール療法とは
四肢の筋機能の左右の違いを見る
健康な体と不調の体には違いがあります。
一番分かりやすい違いは、左右の骨格筋とそれが付着する骨格の機能差です。特に四肢(手足)の筋機能の差は、はっきり確認することが出来ます。
健康な体は、四肢の筋肉の働きが左右対称性に機能します。しかし不調の体は、四肢の筋機能に左右差が生じ、各関節の動きにも左右差が生じます。
この四肢の筋機能の差が骨格の変位を生み、全身の傾きとなります。
よって、健康な体と不調の体を比べると、四肢の筋機能に違いがあることがわかります。
舌コントロール療法は、この四肢の筋機能の違いを検査として用い、その違いが改善することを重要視しています。
舌も左右で違いがある
なぜ舌と四肢の筋肉と関係があるのか?という疑問が起こると思います。
四肢の筋機能に左右差(アンバランス)があると全身の骨格は傾きが生じ、頭蓋骨もその影響を受けます。傾いた頭部は平衡を保たせるために筋肉で補正します。
補正すると脊柱起立筋群や僧帽筋や胸鎖乳突筋など頭部に関係する様々な筋肉は左右で緊張差を生む結果となります。
そして骨格筋ではない舌にも影響が起こると考え、長年口腔内の環境と四肢の筋肉の関係性を調べ、舌にも左右の運動差があり口腔内に偏った力が加わっていることが分かりました。
実際に模型を観察すると、舌の左右の機能差が歯列や口蓋の非対称性の形を作っていることが確認出きます。
そしてその影響を一番大きく受ける歯が上顎第一大臼歯です。しかし、問題なのは上顎第一大臼歯ではなく、上顎第一大臼歯に強い力を与えている偏った舌を改善する必要があります。
レジンで舌をコントロール
偏った舌にどうアプローチするかが非常に重要です。
歯の舌側面にレジンを貼ります。ただ貼るのではなく、左右で均等なアーチを作るイメージで貼ります。
貼るポイントとなる歯は上顎第一大臼歯の舌側面です。左右どちらに貼るかは四肢の検査で決まります。
レジンで形態修正した後、検査で全身にどんな影響を与えたかを再確認します。
舌が中心軸に機能すると頭部に関連する骨格筋も中心軸に機能し、体全体の運動機能が変化することが確認出来ます。
舌コントロール療法は、全身の筋肉(特に四肢)と舌の機能差を分析し、舌を中心軸に機能させることで全身の筋肉の機能を左右対称にすることができる施術方法です。
※補綴物の場合は、舌側面にレジンを貼ったり補綴物を削る場合があります。
舌コントロールの方法
実際にどのように行うか、一連の流れでまとめてみます。
舌コントロール療法の検査
印象採得
一般的な歯科用模型を製作します。可能な限り奥まで印象材が届くように採得します。
口腔内写真と顔貌写真
一般的な口腔内写真と顔貌写真を撮ります。
四肢の他動運動検査
専門の技術を習得したセラピスト又は歯科医師が検査を行います。
膝関節、股関節、肩関節の他動運動検査を行います。
検査は全て動画で撮影し保存します。
口腔内に補綴物がある場合、可逆的な補綴物のケースはその両方で検査します。
舌コントロール療法の分析
模型分析
舌の機能差は歯や口蓋の形として現れます。特に上顎第一大臼歯は舌の強い力を受け、左右で比べるとどちらかが頬側に傾斜しているかを分析します。他に側切歯など舌の偏った力の影響を分析します。
他に補綴物が舌の機能を低下させているケースが多く見られます。その分析も行います。
他動運動検査
特に肩関節検査が舌との関係性が強く、この検査の確認分析に時間をかけます。
不可逆的な補綴物があるケースは、慎重に分析する必要があります。
舌コントロール療法の施術
レジン貼り付け
レジンの貼り付けは歯科医師にしか出来ません。
歯科医師なら簡単に誰でもできるレジンの貼り付けですが、専門知識と技術を習得した歯科医師のみしか結果を出すことが出来ません。
レジンの形状や研磨の精密さで全身の反応は大きく変わります。一つ一つを丁寧にすることで結果に繋がります。
補綴物の形態修正
補綴物が生理的に調和が取れているかが非常に重要となります。
そのためには、補綴物の舌側面形態が非常に重要となります。
生理的な形状に近づけるために、削るか足すかを見極める必要があります。
施術後の再検査
ただレジンを貼ったり、補綴の修正をして終わりではありません。
重要な事は、口腔内で舌の機能が正しくなり、そして全身の骨格筋が左右対称に機能しているかどうかです。
よって再検査で確認し、四肢の動きが左右対称でバランスよく他動運動していれば終了です。
舌コントロール療法の面白いところ
最終確認した後、患者さんは普通に生活するだけです。
舌が良い状態にあれば、普段の咀嚼や嚥下をするだけで日常生活で生じる四肢の左右差を補正し、24時間365日良い体作りをサポートしてくれます。
これを文字で表す事は非常に難しく、現場を見て判断してもらう方がとても理解しやすいと思います。
※小児の場合、骨格成長によりレジンが適合しなくなります。成長の都度貼り替えをします。その他レジンが外れたり、補綴物など口腔内環境により、修正する必要はあります。
舌コントロール療法の症例
はじめに、舌コントロール療法は病気や症状の改善を目的とした医療行為ではありません。
身体が本来のあるべき状態に近づけるために考えた施術方法の一つです。
以下の症例は、舌や筋肉(骨格筋)を左右対称な状態に近づけ、あるべき姿に戻した「結果」として起きた変化を記したものです。決して病気をアプローチする目的ではないことをご理解ください。
病名は現代医学の診断であり、病名へのアプローチが医療だと考えております。
舌コントロール療法は、健康な人であっても病気の人であっても全ての人が対象です。人間のあるべき姿に身体を戻し、体の機能を向上させることを目的としています。
歯科領域の症状変化
- 開口距離の拡大
- 開口時の顎関節の疼痛の消失
- 唾液量の増加
- 乳歯列の空隙変化
- 下顎6番7番の舌側傾斜の改善と咬合改善(40代女性)
- ブラキシズムの改善
- オーバーバイトの干渉による側方運動の改善
- 口蓋の歪みの改善
- 顎骨前方上方回転による顔貌改善(中1男子)
歯科領域以外の症状変化
- 肩こりの改善
- 全身のむくみの改善
- 花粉症の改善
- 生理痛の改善
- 生理不順の改善
- 膝関節痛で出来なかった正座が改善される
- 腰痛の改善
- 仰臥位で寝れるようになる
- 頭痛の改善
- 小児の原因不明の発熱の改善
- SLE(全身性エリテマトーデス)の症状改善
補綴・義歯の形態修正とレジン貼り付け
- 逆流性食道炎の改善
- 坐骨神経痛の改善
- 変形性膝関節症(OA )による歩行困難の改善
- 原因不明の第5指の関節炎の改善
- 頭痛の改善
- パーキンソン病による歩行困難の改善