Tongue Control Therapy

舌コントロール療法とは

歯の口蓋側面にレジンを貼り付けたり、補綴の口蓋側面や頬側面の形態を修正することで、解剖生理学的に筋骨格が安定した状態になり、体そのものを健康的に機能させる施術方法です。

舌コントロール療法を取り入れることで、快適な日常生活や理想的な成長、補綴のトラブル回避など、歯科医師が患者さんのQOLに大きく貢献出来ます。

舌コントロール療法の模型分析(舌尖編)

舌コントロール療法(以下、舌コン)での模型分析は一般的な歯科の模型分析とは異なります。誤解のないように書きますが、これまでの模型分析を否定するものではありません。この模型分析は咬合点などを見る方法ではなく、舌が歯牙や口蓋にどんな影響を与えているかを見ています。

大きく分けて3箇所を観察します。

・舌尖部と左右の上顎側切歯の関係

・舌根部と左右の上顎第一大臼歯の関係

・舌全体と上顎歯列のローテーションと左右の上顎犬歯の関係

今回は舌尖部が左右の上顎側切歯にどう影響を及ぼすかをまとめます。

但し、インプラントなどの場合や過去に歯科矯正をしている場合は、下記に当てはまらない場合があります。

左右の側切歯を見る

左右の側切歯を比べると、どちらか片方の方(特に切端部)が唇側に倒れ、左右で違いがあります。

まず目視で真正面から上顎側切歯を見ると、どちらかが唇側に押されて前方にあるか観察してみてください。

模型を見る

模型を口蓋側から見ると、左右の側切歯の傾斜の差が分かります。

模型を触る

自分の親指を舌に見立てて、口蓋から中切歯の遠心や側切歯の近心の方に親指を滑らせます。

そうすると、片方は抵抗がなくスーっと抜ける側と側切歯の近心が捻転したり唇側にあまり倒れず壁になっている側があることが分かります。

分析

実際に見たり模型を触って見ると、左右の上顎側切歯がやや唇側にあるか口蓋側にあるかで左右差があることが確認できます。

これは舌の緊張側に舌尖が向き、舌尖が片方の側切歯の口蓋側面を押している時間が長いことで起きた結果と考えます。

もう片方はあまり舌尖に押される時間が少ないため側切歯が唇側に変位することはないと考えます。

身体との関係性

身体との関係性とは、舌と他動運動検査の肩関節検査との関係性を指します。

この場合、肩関節検査伸展優位側が舌の緊張側になると考えます。別の表現をすれば、肩関節検査屈曲優位側は舌の伸長側です。(表現的に伸長が適切ではないかもしれません)

舌の運動は舌下神経に支配されています。脳疾患などで麻痺が起きない限り舌は自在に動きます。しかし、安静時には舌尖は真ん中にはなく、左右どちらかに向いていると考えています。その結果が左右の側切歯の差だと考えます。

しかしそれは身体全体の筋骨格の左右差の影響が舌下神経にも与え、身体全体の影響が舌や歯に出ていると考えます。

そして逆のことも言えます。舌の左右差が下顎骨や頭蓋骨や頸椎に影響を与え、身体全体にも影響を与える可能性はあると考えます。

実際の症例

実際の症例でも、側切歯の前装冠の口蓋側面を舌コントロールの理論通りに形態修正を行っただけで歩行時痛があった高齢者がスタスタ歩いたり、長期に渡りバイトが不安定で全身の不定愁訴に苦しんでいた歯科医師が左上顎側切歯にレジンを貼ってからとても元気になったりなど、側切歯のレジン貼り付けや補綴の形態修正で身体全体は大きく変化します。

あとがき

私が舌コンの理論を考えるきっかけになったのが、この左右の側切歯でした。

私自身がやや3級傾向にあるため、舌尖が上顎側切歯の口蓋側面に触れる時間が長かったお陰で気づく事が出来ました。もし私が2級でオーバーバイトなら気づかなかったかもしれません。

私も舌尖で左右の上顎側切歯の裏を触ると、右は壁のように感じ、左はスルッと抜けるような感じであまり抵抗感がありません。先ほどの肩関節検査とも一致します。

安静時に舌が左右対称に機能すれば、舌尖は中切歯の真ん中になり、上顎歯列はそれほど偏った力を受けることは減ると考えます。

舌の偏ったエネルギーは、歯を失う原因や口腔内環境のバランスを崩す一因になると思います。